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いざ、にめっぽう弱い人間でした。

ここだ、の瞬間に頭を駆け巡る、「失敗したらどうしよう」
お腹の底がひゅんっとなって、全身の血管がざわっとして、すくんで小さくなっちゃう感じ。

最後の1点を争うラリー。数え切れないくらいあったはずなのに、思い出すのはいつも、自分に負けた自分のことばかり。
体育会系まっしぐらの人間には致命的でした。

もっと頑張れた。
なんで大事な時に限って私は全力を出し切らないんだろう。

その答えにうっすら気づきながら、気づいてないふりをして、
気に入らない結果は全て否定して、
やればできるもん、を繰り返して、

自分の実力と向かい合うことから逃げて生きてきました。

 

お芝居の世界に飛び込んで、それどころじゃなくなりました。
ひとつの作品を一から作り上げるチームに「私がどう見えるか」なんてただただ邪魔でしかなくて
手段としてはともかく、目的になってはいけない。


そんなこと気にしてるようじゃこの世界にはいられない。

お芝居を通して出会った皆さんが素敵だったからこそ、
私を作り上げてきた自分と向き合う勇気をもらって、踏み出せました。

 

 


あの頃はただただ、認めてほしかっただけ。

どうして?

 

ーーふと思い出す懐かしい空気があります。

あの頃に戻れたら〜とか全く思わない人間なのですが
戻れるとしたら、迷わず選ぶ一日が私にはあります。
輝いていたからでは決してなくて、後悔しているから。

今の私だったら、
あの瞬間にもっと自分らしくみんなといられたと思う。

一人一人のことが本当に大好きだったからこそ、
自分を認めてほしくて、
あの頃の私は自分から逃げ続けていました。

 

 


見てても見てくれてなくてもいい。
みんなのこと、みんなと過ごした時間が今でも変わらず大好きで、
それだけは間違っていなかった。

公演が終わって見返したらなんだか小っ恥ずかしくなるんだろうけど、ここに吐き出しておきます。

 

vol.3の今回。
私が素敵だと思う皆さんの素敵なところが存分に伝わってほしい、の念を込めに込めて作り上げました。


皆さんの目の前にぽつんと佇んでいる小さな祠の名前は、「シャガ」。
「祠の扉を開けた者が村を救う」という言い伝えだけがこのミツガオカ村に残る、謎めいた存在です。

先日、村長家跡取りの堯(あき)様からおふれが出されました。

「シャガの扉を開けよ」

大干ばつに備え、祠を開けて村を救えというのです。

幼い頃からシャガと戦ってきた村人たちは、何を思って祠の前に集まるのでしょうか。

 

 


英雄になりたいから?
どうして?

 

本日はご来場誠にありがとうございます。
私の愛おしくて已まない村人たちと共に、シャガの行く末を見届けてください。


SHEDDING主宰
爽口穂夏

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