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vol.1 主催より

今思えば、小さいころから物語を書くのが好きでした。

 ハリーポッターとかデルトラクエストみたいな空想の世界のお話を

A4のキャンバスノートいっぱいに書いて、

でもやっぱり恥ずかしかったから、読者は母ひとりだけ。

なかなか辛辣な意見をくれる読者さんだったので、

いつしか見せることをやめました。

 

 中学生になって、小説家を目指している女の子の友達ができました。

好きなことを堂々とやるってすごくかっこいい。

原稿用紙の清書のお手伝いをしながら、ずっと羨ましかった。

 

高校生になって部活の朝練に向かう電車の中で、

二つ折り携帯のメモに、幼馴染の男の子と女の子の物語をずっと打ち込んでいました。

ヤクザ版ロミジュリみたいな痛いやつ。

大学生になってパソコンを買ってもらって、友達に絶対見られないように、

レポートのデータの山に紛れ込ませて、メモをワードにちょっとずつ書き写しました。

 

大人になって芝居の世界に飛び込みました。

役者のお仕事が好きです。

だから役者の勉強をしたい一心で思い切って周りの役者さん達に言ったんです。

「脚本書いてみるから芝居の練習しよう」。

 

初めての自主稽古の日、紙を配りながら、どきどきしました。

上手な本なんか書けてるわけないし付き合わせちゃって悪いな。

芝居にならなかったらどうしよう。

笑われたらどうしよう、

嫌われちゃったらどうしよう…

 

だからあの日、

ここってこういう解釈で合ってる?

なんて聞いてくれたりしながら、

みんながちゃんと読んでくれて、

わたし本当に嬉しかった。

 

 わたしの頭の中の世界を覗いても笑わないでいてくれたことが本当に救いでした。

 

 お芝居を通して出会ったたくさんの人たちが、この舞台を実現してくれました。

「舞台やりたい」「一緒にやってくれませんか」って、

本当はどの瞬間もどきどきしながら言ったわたしの精一杯でした。

心から、ありがとうございます。

…いつか、ヤクザ版ロミジュリみたいな痛いやつも、現実になったりするのかしら。

さあ、次はこの細かい字をここまで読んでくださった優しいあなたの番です。

どきどきしながら書いています。

どうか、わたしの頭の中を覗いてもバカにしないで、

最後の一瞬まで見届けていただけたら幸いです

公演当日、あなたは地下へ続く階段を下りて、

南通りを北上し、六六に足を踏み入れます。

まわりのいたるところに六六のパフォーマーがいるでしょう。

そう、あなたが座っているのは中央広場のメインモニター前。

たくさんのパフォーマーたちがパフォーマンスをして暮らしている

このパフォーマンス都市のシンボルです。

今日の目玉はなんといってもアクション集団「デイジー」!

探してみて。オレンジ、空色、緑、深青の4人組ですよ。

…ほらいた!

六六へ、ようこそ。

 


 

​主催 爽口穂夏

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